"it"のヒミツ4やっぱり理屈を「体感」するには、「体験」するしかない。典型的で単純な例文を、毎日口に出す、ということがとりあえずは、英語を実際にだれかとしゃべるような機会のあまりない日本人にとっての「体験的トレーニング」になる。 「天候・寒暖・明暗・時・状態・距離・その他事情のit」が、むしろitを体感的に捉えるには好都合かもしれない。 たとえば、朝起きたらすぐ、または外出したらすぐ、その日の天候などについてひとことコメントするのを習慣にするようにしたらどうだろう。 It’s cold [hot/cool/warm] today! とか It’s a beautiful day today! とか Oh, it’s raining today… とか。 (こういう場面で言いそうな文例リストを作っておいたのでご参照ください) 少し慣れてきたら、種々の「状況」についてコメントするような文例を覚えて、それを使ってみる。 It’s tough. (tough=辛い/大変だ/困難だ/キツイ/キビシイ etc.) It’s a pain. ( a pain =めんどうくさい、しんどい、やっかいだ) It’s a waste of time [money/ energy] (~のムダ) う。なんだかネガティブなことばかり…(普段の生活が思いやられる?)。 ちったあイイカンジのことも…。 It’s fun.(楽しい) It’s rewarding.(やりがいがある) (これも文例リストを作りました) だが実は、上のような文例でも、現在実際にやっていることについて言う場合は This is fun! と言うほうがハマる。いまここでやっていること、自分がその渦中にいること、はthisで示すと生き生きした感じになる。 また、だれかが言ったことを指す場合は、前にも書いたようにthatで示す。 ではIt is ~はどのように使うか。 ここで、実は日本人が比較的得意な構文と言えるIt ~to~構文というのを思い出して欲しい。 つまり It is fun to play soccer. こういう構文では、itはto 以下を”指して”いて、仮の主語であり、本当の主語はto 以下だ、などと習ったはずである。 しかし実際は少し違う。Itは別に「仮」というのではなく立派な主語で、つまりは「状況の全体を受けている」ものである。そしてto以下が、その状況を具体的に説明してやるのだ。発想としては It’s fun! …to play soccer. 「(状況は)楽しいなあ!(その状況とは)サッカーやるってことさ」 何度も言ってきたが、英語をしゃべる人間が発想するときにいちいち「後ろから訳す」的な発想をするわけがない。「翻訳」としてこなれた日本語にする必要がある場合を別として、英語を理解するときにはあくまで発語された順に理解していくべきなのである。 具体的な内容はto~(不定詞)だけではなく、動名詞で示してもOKである。ちなみに寅さんの映画「男はつらいよ」の英訳は「It’s tough being a man」となっていた。 状況の具体的内容が「言わずもがな」つまり説明しなくても明らかな場合なら、to~で説明する必要がなくなる。だから It’s fun! だけで成り立つのである。今まさにやっていることについてitを使うとやや客観的な感じになるが。一方、前述のように This is fun! はもっと直接的に 「これ、楽しい!」 と状況にハマっている感がでてくる。 ともあれ、こういうのは「使ってみること」に意義も効果もある。 だからこそ、「日々の生活でいかにもいいそうなこと」をいくつか、感情も込めて繰り返し口に出して練習して覚え(頭で暗記するのではなく、口と心に覚えさせる!)、そういう状況においてすかさず独り言ででも言ってみるということを心がけるといい。 単語を覚えるとか文型を覚えるとかが主眼ではなく、単語の「キモチ」(ここでは ” it ” のキモチ)を「体験」することが大事なのである。 前へ 次へ ジャンル別一覧
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